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ゼリ→ “+×” (plus times)ツアーファイナル 2020年2月9日 at 新宿BLAZE ライブレポート

Written by takashings posted on 2月 10, 2020 in ライブレポート

2019年10月13日にYAFUMI単独反抗として復活を遂げたゼリ→。
そして、11年ぶりに発売されたアルバム「+× (plus times)」。

そのアルバムをひっさげ、2020年1月17日からスタートした「+× (plus times)」ツアー。 愛知、大阪、福岡、と周って、ツアーファイナルが2月9日、東京・新宿BLAZEにて行われた。

開演時間を少し遅れ、会場が暗闇に包まれ、おなじみの「Surfin’ U.S.A」が爆音で流れる。
ファンはすかさず手拍子でメンバーを迎える。
ISHIMARU(Dr)、勝田欣也(Gt)、Sxun(Gt)、SOHEI(Ba)がステージに姿を現し、最後にゆっくりとした足でYAFUMI(Vo)がステージに見えると歓声が一気に大きくなる。

1曲目は「+×」の1曲目でもある「世界と自分の本当の距離」から始まる。
YAFUMIの心の叫びとも言えるメッセージにファンは拳を挙げて呼応する。
マイクスタンドの前にどっしりと構えて、スタンダードのパンクロックを放つ。

「RODEO GANG」「NO THANKS BLUE GHOST」と初期のアルバムからのおなじみのナンバーが続き、ファンをご機嫌ナンバーで迎える。続く「光を放つように」ではフロントのメンバー全員が「It’s All Right!!」の歌詞のところで拳を挙げ「俺たちに任せろ!」と言っているようにも見え、今日のライブの意気込みにも似たようなものを感じた。

「昔を懐かしむ時間になんてするつもりはないよね?」と数ヶ月前に復活したけど、感傷に浸っている場合じゃないと強くYAFUMIが言うと、BPMは明らかにグッと上がった「新たな」始まりの歌「ROCKER」がぶっ放される。ISHIMARUのバスドラムがドクドクと心臓の鼓動のように感じる。

間髪入れず「JET GLASS」ではファンの心に着火したのか、モッシュが増える。たった数曲で熱気が増し、外の凍える空気とは無縁の世界へと変わる。

「BAD AS I WANNA BE」ではメンバーが煽る前からファンから「B.A.D」の大合唱が始まり、盛り上がる準備はできているとファンは応える。YAFUMIはドラムスティックをステージから投げ、歌詞の「素晴らしく悪いこと」を気持ちよく体現していた。シシーダック

SOHEIのベースからのセッションが始まり、スポットライトの下、YAFUMの強い叫びがライブハウスに響く。「弱い者が弱いままいるから バカなヤロウがのさばるのさ」と聴いて、ざわめくフロアに「SISSY DUCK」が放たれる。シングル曲ながらもステージで披露されることが少なかった曲だけにファンは歓喜する。

勝田欣也のギターから新曲「悪魔の証明」が始まる。直近のゼリ→のことを歌ったナンバーでバンドの今が詰まっている。曲中、Sxunが前面に出て、手を挙げ煽るのが印象的だった。

MCをはさみ、京都にて行われたイベントのことに触れ、そこでアコースティックライブで披露した「VIDEO CAN’T KILL MY LIFE」のバンドバージョンが披露される。「過ぎた時間は巻き戻せないけど、 誰かに早送りもされない」と期間限定の復活のことを示唆して始まる。パンクロックのサウンドには似つかわしくないが、勝田欣也のギターがエモすぎた。

暗闇の中「ザーザーザーザーザーザーザー」と「+×」からの新曲「作り雨」が始まる。サビではギターの勝田欣也とのダブルボーカルとなり、ファンも一緒に雨音の大合唱で埋め尽くされる。

続いて、YAFUMIを投げ捨て、「次の晴れた日に」が始まる。過去の曲ながらも「作り雨」のアンサーソングなのでは?と勘ぐってしまうほど、この流れは抜群だと思ってしまった。そして「イナズマ」へ繋がる。

ここで「ISHIMARU殺しゾーン」へと突入することが宣言され、ドラムソロが始まる。そして「FIRE ARROW」に流れ込み、ISHIMARUとファンとの戦いが始まる。赤のライティングが非常に映えて、メンバーの情熱を表現しているようで、胸に熱いものを感じた。

2回戦は「アロワナ」。おなじみのサビでの掛け合いは今回のライブでももちろん盛り上がるが、ISHIMARUとの戦いということもあって、いつもよりも「負けてたまるか!」とファンからの声が大きかった気がしないでもない。

劣勢に見えた3回戦は「KLAXON ON THE RADIO」。一気にステージ側が優勢に転じたと思わせるほど。YAFUMIがフロアにダイブするシーンもあり、やりたい放題かつ、激しさを増すばかり。

「KLAXON ON THE RADIO」の勢いそのままに後半戦スタート、「Freedom will be there」ではさらに勢いは増す。歌詞にある「最大の過ちは安全な感情の浪費 やめちまいな やめちまいな タイプじゃないぜ」の通り、YAFUMIはすでに足枷なんて何もなく、自由過ぎるパフォーマンス。

ISHIMARUとの戦いラストは「VELVET SNOOZER」。
ファンとバンドを繋ぐ曲の1つでありながらも、未来へ走り出すための背中を押してくれる曲。YAFUMIはステージからファン1人1人の目を見て、言葉を届けるように強い目で歌っていた。ステージとフロアを1つにして、戦いというセッションはもはや優劣や勝敗で語れるものではないままの盛り上がりを見せて終了。

ここでMC。ツアーもファイナルを迎え、赤坂BLITZでの復活ライブから今日までのツアーファイナルをYAFUMIが振り返る。
本当であればKAZUKI、YUTARO、KOHEIの4人でやりたかったと悔しい気持ちを吐露する場面も。だけど、その反面、単独反抗という1人でゼリ→を終わらせることには後ろめたさはなく、ファンのみんなの気持ちがあるからありがたいという気持ちもある、と話した。
最後に「時間はあっという間に過ぎていくし、これからもまだまだぶっ飛ばしていくから着いてきて欲しい」と告げた言葉が個人的にはとても響いた。

YAFUMI 1人でのゼリ→のテーマ曲とも言える「キミのヒビ」、バンドとしてのテーマ曲である「おもちゃのピストル」と続き、あっという間にラスト曲「LONDON NIGHT MOVIE」で幕を閉じる。

アンコールはおなじみの「Silver fox falls into the pitfall」で始まる。飄々とした動きながらも、ちゃんと一人一人の目を見て、歌う力はさらに増すばかりのように見えた。

そして、ファンとバンドの契りの曲とも言える「VOLVO PUNK」。ここでも勝田欣也のボーカルが光る。これまで尖っていたサウンドからぬくもりの熱があるサウンドに変わり、会場は一体感に包まれる。

一度ステージから去り、頭が「いかれた」状態で再度ステージに戻ってくる。勝田欣也がダイブする場面もあり、ダブルアンコールながらもまだまだパワーが有り余っている中、「NITRO GANG」で本当のラストを迎える。ハイテンポかつ、爆音をぶっ放す。まるで心臓のようにフロアに血を送り込み、ファンもモッシュとダイブを連発する。

一瞬にして終わった曲の後には「Stand By Me」が流れ、ライブ、ツアーが終わったことが告げられ、ファンは続々と会場を後にしていく。

延長された命を燃やし、生きること

一度は解散したが、2020年内までの期間限定ながらも復活したゼリ→。新しいアルバム「+× (plus times)」というタイトル、追加された時間では復活を喜ぶのではなく、限りある時間の中で生きる意味を問いながらも、その時間の中で生きていることを表現しているように感じた。

YAFUMIは「今しかない」「限りある時間」「時間は過ぎていく」「今しかない」と限りあるライブの中で何度も叫んでいた。

今ある時間の中で精一杯生きること。過去のことはもう変えることはできない。だけど、これからの未来は作ることができる。どんなことを言われても常に前進していく姿はがむしゃらで、はたからは不器用に映るかも知れない。しかし、そこに自分は美しさと儚さを感じた。限りあるもの、これが終わるとわかっている。終わりへと向かうその道に残る残像が今も脳裏から離れない。
終わりに近づいている足音を掻き消して欲しいぐらいの音で「ザーザーザーザーザーザーザー」と雨にも洗い流されないサウンドはまだ耳の奥底で鳴っている。

また、ライブの中で「6月23日」のライブが開催されることが告知された。ファンにとって「6月23日」は特別な1日だ。「LAST 623 TOKYO」と題したライブ、特別な日はもう一度しか来ない。切ないが、これからの限りある時間の中での輝きをもう一度観たいと思うのは自分だけではないはずだ。

2020.02.09 新宿BLAZE セットリスト

  1. 世界と自分の本当の距離
  2. RODEO GANG
  3. NO THANKS BLUE GHOST
  4. 光を放つように
  5. ROCKER
  6. JET GLASS
  7. BAD AS I WANNA BE
  8. SISSY DUCK
  9. 悪魔の証明
  10. 落書きとナイフと不良少年
  11. VIDEO CAN’T KILL MY LIFE
  12. ALL STAR
  13. MY WAY
  14. HOWLING SUNDAY
  15. 作り雨
  16. 次の晴れた日に
  17. イナズマ
  18. FIRE ARROW
  19. アロワナ
  20. KLAXON ON THE RADIO
  21. Freedom will be there
  22. VELVET SNOOZER
  23. キミのヒビ
  24. おもちゃのピストル
  25. LONDON NIGHT MOVIE

ENCORE

  1. Silver fox falls into the pitfall
  2. VOLVO PUNK

ENCORE 2

  1. NITRO GANG


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